住む場所がない! 高齢者の住宅難民問題とは?

皆さんは、高齢期(老後)を迎えたとき、どこで、どのように暮らしていたいですか?

人生 100 年時代の高齢期は、長期間に及びます。

現在の日本では、世界で最も高齢化率が高いにも関わらず、孤独死による事故物件化の懸念を中心に高齢者が住居を借りにくい状況が続いています。

年を重ねるほど住まいの選択肢は狭まっていき、多くの方は高齢になって初めて気づくことが多い状況です。

相談のお客様の中にも、なかなか物件が見つからないと焦っている方が何人もいます。

まだまだ先!と思っていても誰もが必ず、老いはやってきます。

気が付いたら60歳を過ぎていて、入居拒否により住み替えができないまま今の賃貸に住み続けることになるかも?

高齢者の住宅難民は、生活の質や健康に直結する重要な課題です。

今回は住宅難民とならないために、将来の老後の住居を一緒に考えておきましょう!

 

日本では少子化や核家族化の進展等により、お子さまなどご家族と同居する世帯が減少し、ご高齢のご夫婦のみ、あるいはお一人で暮らす方が増えています。

高齢者の多くは、身体機能が低下しても、住み慣れた現在のわが家(自宅)にできるだけ長くとどまることを望んでいます。

しかし、要介はじめに護・要医療となっても最期まで自宅で暮らすためには、それなりの条件が整っていることが求められます。

例えば、自宅が断熱やバリアフリー構造でないときには、将来の介護に備えてリフォーム等が必要になってきます。

また、自宅のある地域における訪問介護サービス等の充実度も含めた立地も重要です。

そして何より、家族の援助や、自身の経済力が問われてきます。

また、住宅の老朽化への備えや、社会情勢、自然環境の変化等により防犯・防災面等さまざまな配慮の必要性が高まっています。

 住みなれた住まいや地域で暮らし続けるためには、このような状況を踏まえて、あらかじめ今後の住まい、住まい方に係る計画を立てておくことが有効です。

そのためにも、まずは、高齢期の住まいとして、自宅のほかに、どのような選択肢があるかを知っておく必要があるでしょう。

では、次のシートでどんな選択があって自分がどこにあてはまるかやってみましょう!

 

終の棲家に関するフローチャート

※施設は主な特徴であり、全てがあてはまるわけではありません。

 

どうでしたか?

高齢期の住まいの種類は豊富といえます。しかし、安価な費用で入所できる特養などの公的

施設等は、人気が高く、供給数が追い付いていません。

時間のあるときに、どのような公的施設等が近隣にあるのかといった基本的な情報を行政の福祉窓口や地域包括支援センター等で収集し、確認しておきましょう。

現在、高齢期の住まいのうち、高齢者とその家族の多様なニーズに応えているものが、民間

企業等が運営する有料老人ホームやサ高住です。

いずれも、自立期から看み取とりまで幅広く対応していますが、個々の事業者により提供するサービス内容が異なるため、重要事項説明書(重説)や契約書をよく確認し、かつ、体験入居等を通して、自分に合った、適切な住まいか否かを見極めることが重要です。

 

自宅で最期まで暮らすという選択肢はハードルが低くはないといえるでしょう。そこで、高齢者向け住まい(施設・住宅)に住み替えるといった選択肢が浮上します。このとき、重要になるのが、いつの段階でどこに住み替えるのかということです。

例えば要介護になっても、いよいよ限界となるまでは自宅にとどまり、その後「特別養護老

人ホーム(特養)」等の施設に移るというケースが考えられます。

これに対し、元気なうちに現在の自宅を売却し、便利な立地にある手頃なマンションや賃貸物件に移り住む、あるいは、見守り支援が必要になった段階で「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」等に住み替え、要介護になったら再度、介護付きの住まいに住み替える、もしくは、見守り段階で介護付きの住まいに住み替えておくといった選択肢もあるでしょう。

 

つまり、住み替えといっても、その時期によってふさわしい高齢者向け住まいがあり、さまざまな選択肢が考えられます。ただし、住み替え時期が延びると、本人の意向よりも、家族の意向が強まる傾向にあります。

持ち家があるから安心ではなく、老後の自分を考えて、意志をもってどうするのか真剣に考えましょう。

高齢者の住宅難民はとても悲しい問題です。