今、建築業界では大変な危機的状況に陥っています。
それは木材価格が大幅値上がりしているんです!
日本で使われている木材の約7割が海外からの輸入材と言われています。
そんな中、北米での木材高騰がとんでもないことになっています。
これが短期のことではなく、今後しばらく続きそうという話です。
一体どうしてなのでしょう?
実は、新型コロナの影響が引き金になっていると言われています。
アメリカはあれだけのコロナ発症がありますが、在宅時間の増加によって都心の集合住宅から郊外の一戸建てへと移住する人が相次ぎ、不況を防止する経済対策の効果もあり、住宅着工が空前のにぎわいで製材品は2020年夏、最高値に迫りました。
販売が好調で木材需要が増加してきて、株価は上がり、その値上がり利益で不動産が売れる。
ちょっとバブルっぽいですが、住宅に使う木材のカナダ、アメリカの米松など針葉樹の産地価格は軒並み高騰してきて、それが日本や欧州など世界各地の木材価格を押し上げているのです。
また、欧州からの船賃の値上げと海運の船舶運航の滞りによって、仕入れ調達は困難極まりない状況になっています。
他にも、イギリス、中国、韓国、中近東のマーケットの引き合いが増加していること。
中国の景気回復による中国へのコンテナ集中などの理由も挙げられています。
日本だけが安く仕入れをしようとしても材は価格がよい市場へと供給をシフトしながら動く世界を市場とする国際取引商品であります。
ともかく、かつて圧倒的な仕入量を持っていた日本の購買力が力を無くしていて、アメリカが日本に今までの価格では売らないと、生産者側から本格的にそっぽを向かれ始めたとも言われています。
そんな訳で、国内材木市場では、国産材も含め品薄・価格高騰の異常事態となっております。
特にツーバイフォー(2×4)住宅に使うSPF(トウヒ・マツ・モミ類、)。柱や梁、桁で使う米松や集成材、下地で使うホワイトウッドや羽柄材が品薄状態とのことです。
これは結構大変なことで、35坪くらいのお家で必要な木材が20立米とすると、単純に、木材費だけで60万アップしてしまうということになります。
外材がないとなると、次は国産の桧や杉に注文が殺到して品薄となり国産材も上げ相場になってしまうと予想されていますが…
かといって日本のスギ・ヒノキが息を吹き返すのかというと、なかなかそうもいかないらしく…。
今が儲け時と思っても、なかなか丸太が集まらない。丸太は景気のいい中国の上海、大連に向けて船で補助金を付けて運ばれています。
米材の代替えとして、国産材の注文はドンドン入るけど、丸太はないとなると丸太の価格は上がるけど、製材所は仕入れが高くて生産量も上がらず、結果儲からないのであれば人手不足もあり現状維持が精一杯。
国産材を扱う製材事業者なども、かねてから取引きがある企業に優先的に国産材を供給しており、急な要求には対応できていないというのが実情だといいます。
国産材へのシフトがカギを握るはずであるけど、国産材市場は長年の間買い手優位の市場が続いており、なかなか値上げ交渉が出来ない。又、高齢化や合板、バイオマスなど需要増加が伐採量など素材の安定供給を難しくしているのです。
実はもっと深いところで、日本の住宅着工件数は伸びず、木材全体の需要が高まっているかと言えばそうでもない、見通しが薄い現実が影を潜めてもいるのです。
関連する商社やプレカット工場も材料確保に奔走していますが、「今までの常識が通用しない状況に苦戦を強いられている」という声が聞かれています。
そこで現状、プレカット工場が対応としてとられているのが、
・樹種選定に対して自由度を上げる又は変更の依頼
・不足材に対して工場の有限在庫を代替品としての対応。
などですが、調達不足のために新規の受注を制限せざるを得ない状況が迫っているそうです。
こうなってくると、今後の住宅市場への影響は避けられそうもなく、建築会社側も「受注しても着工できない」又は「工期が間に合わない」という状況が多発する懸念が出てきています。
新型コロナの影響がこんな形で住宅業界を圧迫してくるとは驚きですね!
既に価格高騰は始まっていて今後徐々に値上げが見込まれこの状況が続くのであれば、早めの住宅取得の検討をされた方が良いと思われます。
年内には着工したい。来春までには完成して引っ越ししたい。という人は無駄なく会社選びを進めて早めの契約をし、材料確保をしてもらうのが得策と言えるでしょう。