あなたの住んでいるおうちは大丈夫でしょうか?
建物の築年数が17年以上の場合、アスベストが含まれている可能性が高いのをご存じですか?
アスベストは健康に悪影響を及ぼす有害な物質であるため、家の解体前にアスベストの有無を調査することが義務つけられています。
アスベストが使われているかもしれない建物の目安としては、2006年に原則として全面禁止されるまでは、一般的に使われていた材料です。 つまり、2006年以前に建てられた家には、アスベストが使われている心配があります。
思いがけない出費に、こんなはずではなかった!とならないために、アスベストが含まれているかどうかを調査することで、安全な解体や改修計画を立てる基盤となります。
今回はアスベスト調査をするうえで注意すべきポイントをいくつか挙げてみました。参考にしていただければと思います。
アスベストとは
石綿(アスベスト)は安価で、耐火性、断熱性、防音性、絶縁性耐、薬品性、耐腐食性、耐摩耗性など多くの機能において優れていたため、耐火、断熱、防音等の目的で使用されてきました。しかし、アスベストに関する健康への被害が判明し、1975年に5重量%を超えるアスベストの吹き付けが原則禁止とされました。
法的規制と遵守:
大気汚染防止法および石綿障害予防規則の改正により、令和4年4月1日以降、個人宅を含む一定規模以上の解体・改造・補修工事について、アスベストの有無に関わらず石綿(アスベスト)の事前調査結果の報告が義務化されています。
さらに令和5年(2023年)10月からは有識者によるアスベストの事前調査・分析が義務化されました。
アスベストが検出された場合、適切な除去手順が必要です。
アスベストの除去は専門知識が必要で手作業になるので、通常の解体と違いコストがかかります。
適切な許認可を取得し、法的な手続きを遵守することが重要です。
アスベスト調査の方法:
アスベストの検査については、解体工事を行う業者ではなく、アスベスト調査専門の機関が行います。
書面調査、現地調査、裏面確認調査、分析調査、総合調査報告書、諸経費の項目があります。
- 書面調査
書面調査では、使用されている建築材料に石綿が使用されているか否か、石綿(アスベスト)含有建材データベース等を使用した調査を行います。
図面などの書面や聞き取りから情報をできる限り入手し、それらの情報からできる限り多く、石綿の使用の有無に関係する情報を読み取ります。
⒉現地調査
石綿の使用状況を網羅的に把握するため、現地で目視調査を行います。
⒊検体採取
分析調査は10か所以上の検体調査をして建物内のアスベストの有無や量を調査してもらう流れです。
サンプル採取は建材ごとに異なり、主な建材は以下の4つに分かれます。
・吹付材
・形成板
・保温材・断熱材・耐火被覆材
・仕上げ塗料材
それぞれの建材によって、採取方法や使用する道具が異なります。
目的とする分析対象を採取できるよう同一材料と判断される建築材料ごとに、代表試料を選定し、採取しなければなりません。
一般に分析は、分析対象の代表性と変動性(均一性)を考慮したものとすべきであり、建材の石綿分析においては、具体的には、現地での目視調査において同一と考えられる範囲を適切に判断し、試料採取において建材にムラがあることを考慮しなければなりません。
⒋分析
大防法及び石綿則において、石綿含有ありとみなす場合を除き、石綿含有の有無が不明な場合は分析を行うことが義務づけられています。
分析方法は、日本工業規格(JIS)A 1481 規格群をベースとし、その実施に当たっては、厚生労働省の「石綿則に基づく事前調査のアスベスト分析マニュアル」の記載内容を優先する。
これに基づく石綿分析の流れとしては、まず、建材中の石綿の含有の有無を調べるための定性分析を行います。
定性分析で石綿が含有していると判定された場合は、含有率を調査するための定量分析を行い、建材中の石綿の含有率(0.1%以下か否か)を確定させます。
ただし、定性分析で石綿ありと判定された場合において、定量分析を行わずに、石綿が 0.1%を超えているとして扱うことも可能です。
5,総合調査報告書
本見積もり(アスベスト調査結果後)の段階で、石綿事前調査結果報告書の提出を求められます。
綿含有吹付材(レベル1)、保温材等(レベル2)がある場合には、労働基準監督署に提出した計画届の写しを求められます。※発注者は、これとは別に、自治体への特定粉じん排出等作業実施届出が必要です。
施工業者による石綿(アスベスト)含有の有無の事前調査や作業の実施状況の写真等による記録が適切に行われるよう、写真の撮影を許可する等の配慮を行う必要があります。
施工業者による石綿(アスベスト)含有の有無の事前調査は、同じ箇所については、最初の1回のみで、2回目以降は事前調査結果報告書で調査に代えることができます。
アスベスト調査費用:
解体工事会社がアスベスト調査の専門機関に発注し、解体の見積りに計上されるという形となります。
調査の費用は建物の規模やアスベストの有無を調査する範囲によって異なりますが、アスベストの調査を全て実施する場合、70,000円~130,000円が費用の目安です。
金額に幅があるのは、アスベストの発じん性(建築物の解体や改修などにより飛散する度合い)によって調査費用が異なってくるためです。
度合(レベル)は3段階に分類されます。
レベル1は、発じん性が著しく高く、成分分析を必要とします。
レベル2は、発じん性が高いもので、成分分析を必要とします。
レベル3は、発じん性が比較的低いものです。
また、調査費用にも各会社で見積額が違います。事前に複数の業者から見積もりを取り、費用を比較することも重要です。
アスベスト除去の計画:
アスベストが検出された場合、適切な除去計画を立てる必要があります。予期せぬ問題や追加の費用が発生する可能性を考慮して、予備費用を設定しましょう。
建て替えや改修に際しては、安全と法令遵守が最優先です。解体にならない廃棄物の処理費用も考慮に入れましょう。
解体・改修工事後、石綿(アスベスト)飛散防止措置が適切にとられたことを示す作業の実施状況の記録(写真を含む)の提出を求められます。
レベル別処分方法と費用:
アスベスト除去費用は、アスベストレベルや含有面積・含有建材によっても異なります。
アスベストのレベル1は最もアスベスト濃度が高く、飛散性も高いため、慎重な作業が必要です。そのため、費用も高くなります。
また、吹付け材として使用されており天井や梁などで利用されているものが多いため、除去しなければならない面積も広い傾向があるのです。
アスベストの解体費用は、1平方メートルあたり1.5万~8万5千円が相場です。 アスベストが含まれる建物の解体費用は、通常の解体工事費用に加えて、このアスベスト処理に関わる解体費用が加算されることになります。
アスベストレベル2は、ビルや工場の配管、化学プラント、ボイラーや空調ダクトなどにも使用されています。 レベル2の除去も発じん性が高いので慎重な作業が求められます。 そのため処分費用の相場は1平方メートルあたり1~6万円と少し高額になります。
アスベストレベル3の除去費用相場は0.3万円/㎡程度。 例えば30坪程度の住宅の屋根であれば10~20万円程度、外壁であれば20~30万円程度の費用がかかると考えておけばよいでしょう。
レベル3の場合は、比較的飛散リスクが低く解体作業における労働者への健康被害の危険性が比較的低いので、費用も比較的安くなります。
とくにレベル1・レベル2とレベル3では、費用に大きな差が生まれます。
一般的には、30坪程度の住宅でレベル3では30万円程の使いになるのに対して、レベル1・レベル2では100万円単位での増額となりそうです。
まとめ
解体業者を選ぶ際には、信頼性や実績を確認しましょう。適切な許認可や保険を持っているかどうかも確認し、複数の業者から見積もりを取りましょう。
解体作業のコストには、建物の規模、材料の種類、立地条件などが影響します。予算を事前に明確にしておくことが重要です。
各自治体によってもアスベストの調査費や除去費用に補助金が用意されている場合があります。
まずはおうちの相談窓口に相談してみて自分たちの解体の条件に合うのか確認してみましょう。