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軒ゼロ住宅って最近多いような?その理由と、軒の出の役割とは?

最近の新築の住宅をみると、軒の出が無い住宅をよく見かけます。

建物は四角いキューブ型、スタイリッシュでスクウェアな外観が特徴ですね!

では、デザイン性でこのような住宅が選ばれているのでしょうか?

実は創る側の意外な理由があったんです!

最近の流行りだからと鵜呑みにこのデザインにすると後々後悔することになるかもです。

今回は軒の出の役割と重要性、軒ゼロ住宅の場合に何に注意するべきか、についてお話します。

 

まず軒の出が無い住宅が増えてきた理由としては3点あります。

できるだけ屋根の存在感を無くし、スッキリ見せるために軒の出を無くす手法が取られています。壁の立ち上がりを伸ばすと建物が大きくみえる効果もあります。

密集市街地では敷地面積が小さいため、軒先が長いとその分外壁が後退するので建物を小さく設計しなくてはいけません。軒の出を小さくすることで建築面積を広くしたい方には適しています。元々軒ゼロ住宅は、密集地の対策として考えられた住宅なんです。

軒の出が無くなれば「軒天ボード」「屋根材」「垂木」などの材料を少なくすることができ、コストダウンとなります。施工側としては手間もコストも省けて嬉しいわけです。

しかし、軒先がしっかりと出ているかいないかは「機能面」に加えて、建物の寿命にも大きく関わってくるものなのです。

では、その役割とは何なのでしょうか?

 

 

軒先は、夏の日差しを調節してくれる

軒の出がないと直射日光が直接部屋に入り込むことになります。

真夏だと窓からの熱で部屋が外気温以上に暑くなる場合があります。

せっかくエアコンを付けていても、冷房の効きも悪くなり効率的ではありません。

南面の窓は明るくて開放的ですが、真夏の日中は日差しの差し込みは避けたいものですね。

夏至の南中の太陽高度は、東京で約78度です。

そのため、窓の上部に軒の出(下屋)が60㎝以上あれば、直接の日差しを遮ることができます。

 

軒の出は雨漏りを防いでくれる

住宅瑕疵保険会社大手のJIO(日本住宅保証検査機構)では屋根形状別の雨漏り発生数を調査しています。

調査結果では片流れが全体の約75%で切妻が15%、寄棟が6%でした。

片流れ屋根の雨漏り件数が大多数を占めています。

その原因は「片流れ屋根+軒ゼロ」で構成された住宅が増えたからと言われています。

軒の長さがない、もしくは短い場合、屋根端部の隙間から入った雨水はダイレクトに壁内に流れ込みます。

軒の出がある建物では、ちょうど軒の部分がすっぽりと外壁の上端を覆うことができまし、隙間があっても簡単には壁内に浸水することはありません。

軒ゼロでは十分に覆うことができず、コーキング処理になるので数年経って隙間ができて、雨が吹き込んでしまう現象が起きやすいのです。

また軒の出があると、風がなければ窓を開けていても雨が入り込むことを最小限に留められますね。

 

外壁や小屋裏の換気は軒天が重要!

今の住宅は24時間換気が義務付けられていますが、外壁や小屋裏にも換気って必要なんです!

断熱材とサイディングとの間に通気層を設けないと、逃げ場のない湿気は断熱材に溜まり断熱性能を低下させます。外壁の中では、通気層はサイディングの下から空気を入れ、軒天や小屋裏の換気口から排出することになります。天井断熱の場合には小屋裏換気が、屋根断熱の時には屋根通気が必要になります。多くの場合、入り口は軒裏に、出口は棟部に設けます。

軒の出がない住宅の対策としては

1.軒先部に特殊な吸気孔を設置する。(雨を入れず、空気を通す通気部材)

2.壁は通気構造とする。(壁内に雨水が浸入しても排出できる構造が必要)

3.通気構造の出口を必ず設置する。(雨仕舞を考えると小屋裏側へ)

つまり、軒の出がなくても、換気・通気できる構造・部材を採用することが必須です!

屋根野地の先端から吸気できる商品も開発されています。

軒の出が無くても壁上部には必ず換気口が必要ですが、施工側が雨漏りの原因とならない形のものを選ばなくてはいけません。

 

軒の出は、外壁の保護にもなっている

外壁自体が家を保護するものですので、「外壁を保護?」ってなりますよね。

近年の外壁は、ほとんどが「窯業系サイディング」です。

窯業系サイディングは主材のセメントや繊維材には防水性がありませんが、表面をトップコートでコーティングして防水性を高めています。

さらに、ジョイント部やダクト周りや配管まわりなどには、シーリング材で処理をすることになります

これらの「トップコート」や「シーリング」は直射日光や直接雨に打たれ続けると、劣化が早まり、防水機能が早く落ちてしまい、外壁の汚れも目立ってくるわけです。

そうすると塗り替えの時期も早まります。

1.2メートル軒の長さを確保すれば住宅一層分の外壁が雨と紫外線から保護されると言われています。

軒の出は外壁を強い紫外線や雨から守ってくれて、長持ちさせてくれているのですね。

 

軒の出のメリットは、ほかにも・・・

また、室外機やエコキュートなどは軒下の設置の方が耐用年数が高まります。

ほかにも、軒の下に植物を置いたり、1階であれば自転車やバイクを置いたり、デッキを造れば軒下で洗濯物を干すこともできます。

 

まとめ

軒の出を出す事はこのように多くのメリットがあります。

「日差し」「雨漏り」「雨の吹き込み」「外壁の保護」「物を干す」「物を置く」、そして建物壁内の「換気」、と盛りだくさんですね。

反面、デメリットはその分コストがかかってしまうくらいですが、高温多湿な夏のある日本にはとても理にかなったものなのです。

デザインやコストダウンにより、軒の出を無くす「軒ゼロ」住宅とすることを検討されているなら、これらのメリットが無くなる(減少する)ことと、「雨漏り対策」「換気」については代替案が必ず必要なので、会社さんにどんな施工にするのか確認しておきましょう。

軒ゼロ住宅はここ最近の形です。雨漏り対策もある程度は考えられてきましたが、依然として不具合は多く報告されています。

早く教えてくれれば…と後で悔やまないようしっかり検討してから、決めてくださいね。

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